こんにちは。 陽だまり歯科院長の猿田陽平です!
今回はセラミック(白い歯)を入れる際の注意点についてご紹介したいと思います。
虫歯で削った後など「白い歯を入れたい!」とおっしゃる患者さんはとても多いです。
その中でも
- 見た目が白い!
- 保険の白い歯より硬い!
- 長く使ってもすり減らない!
- 長く使っても変色しない!
- 金属を使っていないのでアレルギーの心配がない!
などの理由からセラミックの人気は高いです。
セラミックは他にポーセレンと呼ばれることもあります。 材質的にはお茶碗などに使われている陶器をイメージしてください。
上に挙げたようにセラミックにはたくさんのメリットがあるのですが、やはりデメリットもあります。 特に“ある癖”を持っている患者さんにセラミックの歯を入れると、後でとても後悔することになってしまうケースがあります…。
というわけで今回は、
- セラミックの歯のデメリット
- セラミックの歯の値段
- セラミックを入れて後悔するケース
などなど、お話ししたいと思います。
セラミックの歯のデメリット
デメリットの前に、メリットの方は非常に分かりやすいです。
- 白い!
- 硬い!
- 劣化しない!
このような特徴をご存じの患者さんだと「セラミックを入れてください!」と名指しで言われることもあります。
ですが、そんなセラミックにもデメリットがあります。 患者さんによっては後で非常に後悔することになるデメリットがあるので、必ず確認してください。
1.セラミックは割れやすい
セラミックの歯は、身近なもので言うとお茶碗や湯呑みの陶器です。 硬いのに割れやすい、という特徴を持っています。
硬度は高いが、脆性破壊しやすい
この【脆性破壊】というのがその性質です。
人の手でお茶碗をぐーっと力入れてみても、曲がったり、歪んだりはしませんが、それよりも大きい力、例えば床にたたきつけたりすると、途端にパリーンと割れてしまいます。
セラミックの歯にも同じ性質があります。
普段のお食事で噛んでいて簡単に割れてしまうほどの脆さはありませんが、“ある癖”を持っている患者さんでは割れてしまうリスクが高くなります。
これは後半で説明します。
2.保険適用にならない
残念ながら現在のところ、セラミックの歯は保険適用にはなりません。
当院の場合ですと、かぶせ物タイプで50,000~100,000円。
詰め物タイプですと30,000~50,000円となります。
保険の銀歯が3割負担で5,000円ほどなので、決して安い金額ではありません。
値段に幅があるのは、同じセラミックでも素材の性質の差や製法の違いによります。
セラミックも今はいろいろ種類があって患者さんからすると混乱してしまうと思うので、セラミックの種類についても後日コラムでまとめたいと思います。
セラミックで後悔しないために
先ほどご説明した通り、セラミックの歯は割れやすいという性質を持っています。
メリットだけを考えると患者さんにとっても僕たち歯科医師にとっても、セラミックはおすすめしたい素材ですが、この「割れやすい」という1点のせいで、“ある癖”を持っている患者さんには僕はおすすめしていません。
どうしてもセラミックをと希望される場合には、先にそちらの癖の改善から始めることにしています。
その癖とは…
食いしばりや歯ぎしりです。
食いしばり、歯ぎしりについて
僕たちは総称してTCH(歯列接触癖)と呼ぶことがあります(以下、TCH)。
TCHは次の3種類に分けられます。
- 歯ぎしり(歯を横方向に動かす)
- 食い縛る(歯を縦方向に噛み込む)
- 歯をカチカチと合わせる(貧乏ゆすり的なもの?)
TCHは【Tooth Contacting Habit】(歯列接触癖)という言葉の略称なのですが、実は英語では
Nonfunctional Tooth Contact
と言います。
日本語訳は「非機能的な歯の接触」。 「非機能的」というのは「機能している時以外の」という意味なので、こちらの方が意味は分かりやすいですね。
機能している時と言うのはどういう時か。
- 物を噛むとき(食事中)
- 物を飲み込むとき(水・唾・食べ物等)
- 力を入れたい時(重いものを持ち上げたりして食い縛るから)
などです。
英語の通り、食事以外、つまり本来の歯の使い方でないのに歯が噛んでいる状態です。
食い縛り・歯ぎしりと聞くと寝ている間の歯ぎしりをイメージする事が多いと思いますが、このTCHは就寝中に限らず、日中に無意識で行っている場合もあります(食い縛りのケースが多い)。 ストレスがかかっている時などに多いですね(デスクワークの方が多いイメージです)。
TCHはセラミックの歯や自分自身の歯に非常に強い負荷を長時間にわたってかけます。 セラミックは割れやすいので、過負荷がかかると割れてしまいます。 患者さんによっては半年もたずに割れてしまうこともあります。
せっかくセラミックを選んでもらったのに半年もたずに割れてしまっては患者さんにとってもストレスではないでしょうか? なので、僕はまず食いしばりや歯ぎしりがないか必ず確認するようにしています。
食いしばりや歯ぎしりが悪影響を与えるのは何もセラミックだけでなく、入れ歯やインプラントなど、歯を補う治療全般でその寿命を縮めてしまいます。 他にも
- 歯が過剰にすり減る
- 神経を抜いた歯が折れる
- 知覚過敏になる
- 顎関節症になる
- 頭痛や肩こりの原因になる
当院では、患者さんに長く満足してもらえる治療を目指してるので、このTCHの改善にとても力を入れています。
そのせいですぐにセラミックを入れられず、ご不便をおかけしてしまうこともあるのですが、長い期間で見た場合にはより満足していただけると考えています。 ご理解いただければと思います。
今は割れにくいセラミックもありますが…
従来のポーセレンに比べ、今は人工ダイヤと呼ばれるほどの硬さをもつジルコニアという割れにくいセラミックが登場しています。
ジルコニアは確かに割れにくいのですが、人工ダイヤと呼ばれるだけあって、従来のセラミックより硬く、歯よりも硬いです。
TCHがある場合、ジルコニアなら割れにくいですが、今度はジルコニアのせいで噛み合っている歯が傷つけられやすくなってしまいます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
セラミックの歯のデメリットをまとめると、
- 割れやすい
- 保険適用にならないので治療費が高め
- 食いしばりや歯ぎしりがある状態で入れるとセラミックの寿命が縮まる
のような特徴があります。
せっかく白くて綺麗な歯をと思ってセラミックを選んでいただいても、結果的には後悔してしまうケースもあります。
それも含めて当院では患者さんに寄り添った治療をしていきたいと考えているので、お気軽にご相談いただければと思います!
あなたが満足できる治療をしましょう!
陽だまり歯科はあなたのご相談をお待ちしております。