こんにちは。 陽だまり歯科院長の猿田陽平です!
今回は炎症についてご説明したいと思います。 お勉強要素が強くなっているので、あまり興味がない場合は元のページに戻ってもらってかまいません。
僕たち歯科医師は歯や歯ぐきなどの状態を把握して、患者さんにそれを説明します。 それから具体的な治療のご提案をするわけですが、治療の重要性・必要性を理解してもらうためにはどうしても【炎症】というものを知ってもらわなければならない場合があります。
みなさん、【炎症】という名前は聞いたことがあるのではないかと思います。 今回はできるだけ簡単にこの【炎症】というものがどういうものなのかお伝えできればと思います。
炎症とは一体なんなのか
教科書的にはこのように定義されています。
炎症の5徴
「炎症の5徴」とは、発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つの徴候をいう。 組織に急性炎症が起こると毛細血管は拡張し局所の血流が増加する(発赤・熱感の原因)。 拡張した血管からは血液成分の滲出が起こり、組織に浮腫が起こる(腫脹の原因)。 浮腫が起こると組織圧の上昇で局所は圧迫され、放出された化学伝達物質が「痛み受容体」を刺激する(疼痛の原因)。 原因が除去されていなければ修復が追いつかないため、いつまで経っても完全な治癒には至らず、これらが合わさって機能障害の原因となっていく。
読んでてなんのこっちゃとなりますよね?
僕も学生時代はそうでした。
簡潔にまとめると…
先ほどの難しい話を簡単にまとめると
- 赤くなる
- 熱が出る
- 腫れる
- 痛みがでる
この4つの症状が出るのが炎症です。
先ほど紹介したのは「5徴」とありましたが、4つの症状が出るとその部分に【機能障害】が起こります。 【機能障害】を含めない場合は「4徴」、含める場合は「5徴」になります。 【機能障害】を含めるかどうかは考え方の違いによるものなので、本質は変わりません。
具体例で例えると…
更にわかりやすく例えると、風邪をひいたときを思い出してください。
- 顔が赤くなって…
- 体温が38℃とかになり…
- 扁桃腺(のど)が腫れ…
- 頭痛がある…
まさに、炎症のすべてが風邪の症状に集約されています。
炎症と歯科の関係
このように、炎症というものは様々な症状が出るものです。
歯科では
歯肉炎 | 歯ぐき(歯肉)に炎症が起こり、歯ぐきから血が出ます |
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歯髄炎 | 歯の内側にある神経(歯髄)に炎症が起こり、ズキズキと歯が痛みます |
歯周炎 | 歯ぐきや歯を支えている骨(歯周組織)に炎症が起こり、噛むと違和感があったり、ずーんと響いたような感じがあります |
医科の方でよく聞くものだと、
- 肺炎
- 腱鞘炎
- 膀胱炎
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
どこに起きた炎症なのかで名前がついてるのがお分かりいただけると思います。
では、炎症がおきるとどうなるの?と言う事ですが…
生体が何らかの傷害を受けた場合、通常は体内に存在しない特徴的な物質が放出される。 これらの物質をダメージ関連分子パターン(英語版)と呼ぶ。 この分子群には、体外から侵入した微生物に由来する病原体関連分子パターン(英語版)と、損傷を受けた自己組織に由来するアラーミン (alarmin) が含まれる[4]。 このような傷害に特徴的な物質群が、自然免疫系に属する細胞に多く発現するパターン認識受容体(英語版)により認識されることにより、炎症を惹起するサイトカインなどが放出される。 このサイトカインなどの作用により、周辺の血管の直径は増し、血管壁の浸透性が高まる。 この結果、血液供給量の増加に伴う発赤や熱感、浸透性の増加から来る体液の浸潤に伴う腫脹や疼痛が引き起こされる[5]。 これら、炎症の誘導に関わる分子は炎症メディエーターといい、これらの作用が合わさって炎症反応を引き起こす。 白血球は、ロイコトリエンやヒスタミンなどの炎症メディエーターにさらされた血管内皮細胞に発現されるセレクチンと結合すると、血管内面を転がる (ローリング) ようになる。 さらに内皮細胞とインテグリンαLβ1 (LFA-1) を介して強く接着することにより、基底膜へと押し出される (漏出 (diapedesis))。 続いて、プロテアーゼにより基底膜を分解すると、ケモカインCXCL8 の濃度勾配にしたがって炎症部位へと遊走する。 下記のように、非常に多くの症候が慣例的に炎症という名称で呼ばれているが、炎症反応自体は非特異的な防御機構の一員なので、これらは当該部位に何らかの損傷や組織変成など異常が起きて、それに対して生体の、恒常性を維持するための防御治癒の反応として炎症反応が生じているとみてよいだろう。 例えば腱鞘炎は当該腱組織に微細変成など組織異常が生じ、防御の反応として炎症が起きるものであるし、潰瘍性大腸炎、肺炎あるいはランニング障害として多くの人が体験する腸脛靭帯炎なども同様である。
はい、長い!難しい!
分かりません!(笑)
炎症が起きている部位は酸性になります。
酸性……?
中学生の頃にやった実験を思い出してください。 リトマス試験紙を使って、酸性だのアルカリ性だの中性だの調べたあれです!
コーラとかの炭酸飲料を飲んでいると「虫歯になるよ!」と怒られた経験のある方も多いのではないのでしょうか?
まさに、酸性になると、歯や骨などは溶かされてしまします。 炭酸飲料は弱酸と呼ばれる分類に含まれるのでそこまで酸性の度合いは強くはないですが、毎日飲んでいると、当然、歯が溶かされてしまいます。
歯周病も正確な病名としては歯周炎ですので、歯の周りに炎症が起きているため、骨などを溶かすようになります。 骨が溶けて、歯周病がさらに進行し、縁下歯石がつき、さらに骨が溶けていき…を繰り返して、最終的には歯を支える骨がなくなってしまい、歯は抜け落ちてしまいます。
歯を失う原因の第一位は40%超で歯周病です。
炎症が起きていると麻酔が効きにくい
上で、「炎症が起きている部分は酸性になっている」と書きました。 実はこの影響で、炎症が起きている場所では局所麻酔薬が効きにくい場合があります。
何故かといいますと、局所麻酔薬はアルカリ性の場所で作用しやすい性質を持っているからです(人体は弱アルカリ性)。 当然、炎症が起きて酸性になっていると麻酔効果は出にくくなります。
「炎症が起きているので麻酔が効きません」では痛くて治療ができなくなってしまいますので、当院では
- 麻酔が効きにくいことを事前に説明します
- 同意がもらえた場合には、様子を見ながら麻酔の量を増やして処置を行います
- 先に炎症を抑えて麻酔を効きやすくしてから、後日改めて治療をすることもできます
- 僕の方から先に炎症を抑える話をご提案する場合もあります
実際にどういう対応を取らせていただくかは、患者さんの状態(緊急性があるのかないのか)、患者さんのご希望(とにかく早く治療して欲しい、痛いのは嫌だ)を考慮してとなりますのでケースバイケースです。 なるべくご希望に添えるよう処置していきますので、実際の治療の際にご相談ください。
麻酔についてはこちらのページもご覧になってみてください。
歯医者での麻酔は怖くて当然!そのための当院の取り組みをご紹介します
当院で行っているなるべく痛みを感じずに治療を受けていただくための取り組みをご紹介しています。 歯科の治療では歯を削ったり、歯ぐきを切ったりと、痛みを伴う事が予想される治療を行うことがあります。 もちろんこの痛みは麻酔で抑えて治療をするわけですが、この麻酔自体の痛みが苦手な方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。 この記事を読んで「こんな風にしてもらえるなら麻酔も我慢できそう!」と感じていただけたら嬉しいです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
歯周病を代表とするお口の中の炎症の怖さを知っていただくために、炎症についてご説明しました。
歯垢(プラーク)や歯石が残っていると、炎症が起きやすくなります。 歯周病から歯や歯ぐき、あごの骨を守るために、ご自宅と歯科医院での口腔ケアをしっかり行っていきましょう。
歯石取りについては次のページでもご案内しています。
歯石取りだけのご相談?もちろん来てください!歯周病予防に歯石除去はとても大切です!
歯石取りは自分でできるのか? 歯医者でやってもらうといくらくらいかかるのか? 歯石取りには保険が利くのか? 歯石取りに関する様々な疑問にお答えしています! 当院は歯石除去だけでも来ていただけますので、お気軽にご相談ください!
陽だまり歯科はあなたのご相談をお待ちしております。