【豆知識】虫歯なのに痛くない!?虫歯で痛みが出る仕組みを分かりやすくまとめました

2019/9/29公開 (2019/11/13更新)

こんにちは。 陽だまり歯科院長の猿田陽平です!

今回は、歯科に関する豆知識として【痛くない虫歯】についてお話したいと思います。

「虫歯=痛い」

一般的に虫歯はこういうイメージじゃないかと思います。

ですが虫歯の段階によっては痛みがでない状態があります。

「どうせ初期の虫歯は痛くないとかそういう話でしょ?」

その通りです。 初期の虫歯は痛みがないことがほとんどです。

ですが!
かなり進行した虫歯でも痛みが出ない状態があるんですねぇ。

この理由は、歯の構造を知ってもらうと「ナルホド!納得!」してもらえるのではないかと思います! 興味のある方は「へー!」って思いながら楽しく読んでみてください!

歯の構造は外から順にエナメル質、象牙質、歯髄(しずい)と3層構造になっています。

エナメル質とは

歯の一番外側にある薄い層で、目に見えている部分は基本すべてこのエナメル質です。

内側の象牙質よりも石灰化度が高く(95%以上)、非常に硬いです(体の中で最も硬く、骨より硬い)。 外部の衝撃や細菌感染から歯を保護する役割をもっています。

その硬さはモース硬度でいうと7。 ダイヤモンド、ルビー・サファイア、トパーズに次ぐ硬さです。 かなり硬い。

象牙質とは

エナメル質の内側にある、歯の大部分を占める層です。

エナメル質と比べ石灰化度は低く(70%程度)、モース硬度は5と少し柔らかいです。 象牙細管という小さな管が無数にあり、中には神経が通っています。

歯髄とは

歯の一番内側にある領域です。 虫歯が進むと「神経を取る」治療を行うことがありますが、その時に取るのがこの歯髄です。

歯髄はエナメル質や象牙質のような硬組織ではなく、中には神経と血管が詰まっています。

すいません、もうひとつお勉強…。 これで最後です、次こそ本題…!

虫歯が進行していくとどのようになるのか。

虫歯の進行段階を、先ほどの歯の層のどこにまで虫歯が進行したかで分けています。

エナメル質の虫歯

表層のエナメル質だけが虫歯になっている状態です。 エナメル質は硬いため、虫歯の進行はゆるやかです。

象牙質の虫歯

虫歯がエナメル質を越え、象牙質にまで進行してきた状態です。 象牙質は柔らかいため虫歯の進行速度は速くなります。

虫歯が歯髄にまで到達

象牙質を越え、歯髄にまで虫歯が進行してきた状態です。

根っこの先まで

さらに虫歯が進行し、根っこの先から虫歯菌が歯の外に出てしまった状態です。 根っこの先端の骨を溶かし、膿がたまります。

ようやく本題です。 ここまで読んでいただいてありがとうございます!

正解を言ってしまう前に、一度【痛い】というのがどういう流れで起きるのか考えてみましょう。

例えば、「ほっぺたをつねって痛い」。

これはまず、ほっぺたにある痛みを感じる細胞(受容体)がつねられた刺激を受け取ります。 受容体はこれを感覚神経に伝え、脳へと伝わり、ここで初めて脳(あなた)が「痛い!」と感じます。

大事なのは脳へと痛みを伝える神経です。 もし神経がなかったら…

というわけで正解はコレです!

エナメル質だけが虫歯になっていると痛みがありません!

先ほどエナメル質の説明をする時にあえて触れなかったんですが、エナメル質には神経が通っていません

つまり、エナメル質だけが虫歯になっている状態では痛みを感じることが物理的に不可能なんですね。 なので初期の虫歯は痛みを感じません。
「症状が軽い」から痛みがないわけではなく、「痛みを脳に伝える神経がない」から痛みがないのです。

ただ、その下の象牙質には神経が通っていますので、象牙質にかなり近いところまで虫歯が進んでいる場合にはアイスを食べると痛みを感じたり、しみたりすることがあります。

神経が死んでしまった場合にも痛みは感じません!

歯髄に虫歯が到達すると、神経が直接感染してしまうので最初は激しい痛みを伴います

ですがしばらくすると虫歯菌によって神経が死んでしまい、神経として機能しなくなります。

実はこの場合にも痛みが消えます。 痛みを脳に伝える神経が機能していないからです。 見た目にも明らかに虫歯なのに痛みを感じないという不思議な状態です。

これは決して虫歯がよくなってきているから痛みがないわけではなく、痛みを脳に伝える手段(神経)がないだけなので注意してください!

その後、また痛みが出てきます

神経が死んでしまうと痛みがなくなるので、治療せずにそのまま放置される患者さんがいらっしゃいますが、虫歯が治ったわけではないのでもちろん虫歯の進行は続きます

そして根っこの先にまで虫歯が広がると、今度はまた痛みが出てきます。

一度進行してしまった虫歯は自然に治ることはありません。 進行すると治療費は高くなるし治療期間も長くなってしまいます。 虫歯になっていると言われたら必ず最後まで治療をしましょう。

いかがだったでしょうか。

難しいお話が多かったですが、「なるほど!確かにこんな風になってるなら虫歯でも痛くないかも!」と雰囲気をつかんでいただけたなら嬉しいです。

もし豆知識として知っているとですね…
こんな時にちょっぴり「フフフ」と得をするかもしれません!

このあいだ歯医者へ行ったら痛くなかったのに虫歯です!と言われて削られてしまいましたの…
ほんとに虫歯だったのかしら…

あらやだ奥様ったら!
エナメル質に限局した虫歯の場合は痛みは感じませんのよ。
昨日、陽だまり歯科のホームページで見ましたわ

まぁ!(え、エナメル質…?限局…?)
私も陽だまり歯科へ行こうかしら!?

ご来院、お待ちしております!