自分で歯石取りはできるのか!?歯科医師が自分で歯石取りをしてみた話

2019/9/17公開 (2019/10/1更新)

こんにちは。 陽だまり歯科院長の猿田陽平です!

今回は「自分で歯石が取れるのか!?」というお話をしたいと思います。

さすがに皆さん、ご自宅で「虫歯を削ろう!」とか「親知らずを抜こう!」とは思われないようですが、

  • 歯石取り
  • ホワイトニング
  • 歯周病の治療

あたりは自分でしたいと考える方がおられます。 僕も歯科医師になる前は同じように考えていました。

結論から言うと、この中でご自宅でもできるのはホワイトニング(ホームホワイトニング)のみです。

今回は、

  • 自分で歯石取りはできるのか
  • 自分で歯石取りをするとどうなるのか
  • 歯科医師や歯科衛生士は自分で歯石取りをしているのか

などなど、僕の体験談を交えながらお話ししたいと思います!

特殊なケースをのぞいて…出来ません!

特殊なケースというのは次のような場合です。 ほぼ不可能ということです。

  • あなたが歯科衛生士で、歯石取りに慣れている
  • 自分で歯石取りをすることにも慣れている
  • 超音波スケーラーなどの器具を使える環境である

爪楊枝で簡単に歯石取りできませんか?

出来ません!

歯石は「石」というだけあって石のような硬さです。 爪楊枝は木なので柔らかいです。

大きな塊になっている歯石に爪楊枝で力をかけてパキッっと取れることはあるかもしれませんが、綺麗に歯石を取ることは不可能です。

実は僕も同じことを考えて爪楊枝で歯石を取ろうとしてみたことがありますが、爪楊枝で部分的に取る事は出来ても、高確率で歯ぐきを傷つけます。 とてもおすすめできません。

本当に歯石は石のように硬い?

歯石は、歯垢(プラークとも呼ばれます)が時間経過で石灰化したものです。

歯垢は磨き残した食べかすに細菌が増殖したものなので、図にするとこのようになります。

歯石の組成は70~80%がリン酸とカルシウムです。 一方、一般に石の組成は70~80%が酸素とケイ素です。

「石」という割りには組成があまりに違います。

ところがですね、このリン酸とカルシウムという組み合わせは体の中にある別のものと非常に似ています。

それは歯や骨です。

物の硬さを示すモース硬度で比較すると

モース硬度5 骨、歯の内側
モース硬度7 歯の表面、石英(いわゆる石)
モース硬度10 ダイヤモンド

歯石はかなり硬いのだということが分かってもらえると思います。

歯ブラシで歯石取りできませんか?

出来ません!

歯ブラシは爪楊枝よりも柔らかいので歯石取りには向いていません。

ただし、歯ブラシは歯石になる前の歯垢(プラーク)の清掃には向いています。 歯石を気にされるのであれば、まずは前段階の歯垢の清掃から始めましょう。

普段の歯ブラシをしっかりする事で歯石が出来ることを防ぐと言う意味で考えると、広義の意味で歯石取りになるのかな?(笑)

スケーラーを買えば自分で取れませんか?

出来ません!

スケーラーというのは歯石取りなどに使う歯科の器具です。 買おうと思えばamazonでも買えます

「歯石取りに使う器具なら歯石を取れるんじゃないか!?」というのはおっしゃる通りで、実際に僕も自分でやってみたことがあります…

その結果は次のパートで…

超音波スケーラーなら自分で歯石取りできますか?

出来ません!

超音波スケーラーというのは先端から水と超音波が出ていて、実際に医院でも歯石取りに使っている器具です。 これはさすがにamazonでは買えません。

これまでの道具の中では最も歯石が取りやすい器具ですが…

超音波スケーラーがあるということはそこは歯科医院ですよね? 歯科衛生士さんに任せませんか?

爪楊枝や市販のスケーラーなど、どのような器具でも「出来ません!」「出来ません!」と書いてきましたが、

amazonのスケーラーでかなり歯石取れたけど?

と実際に試した方は言われるでしょう。

これにはですね、歯科医師としてお答えするよりも、同じく自分で歯石を取りたかった学生時代の僕の経験談でお答えします。

学生時代に自分で歯石を取ってみました

僕は歯学部学生の頃に、実習用に買った歯石取りの器具で自分の歯石を取っていました。 自分でけっこう満足して取っていたのですが、何故かすぐに歯石が復活していました…。

おかしい、取れてるはずなのに…

と思い、今度は歯医者に行く前日に自分で歯石取りをし、知人の歯医者に歯石の状態を見てもらった所…

うん。
部分的には取れてるけど、中途半端に取れてて、かえって色んな所がザラザラしてるよ。
これ、すぐにまた歯石できるでしょ?

と言われました。

その時に、学生時代の僕は
「なぜ分かったし…歯医者恐るべし…」
と心の中で思ったものです。(笑)

僕の腕も稚拙だった事もあるとは思いますが、歯科医師がやってもこんな状況なので、基本的には自分自身での歯石除去は不可能だと考えてください。

なぜこんなことになるのかというと、それは歯石がどういう構造をしているのかをお話ししなければなりません。

歯石はデコボコしているところにつきやすい

歯石取り歯石取りと言ってきましたが、実は歯石自体には病原性はありません。

なら歯石の何が悪いのかと言いますと、理由はその結晶構造にあります。

「芸能人は歯が命!」のアパガードさんのサイトにものすごくわかりやすい写真がありました。

ご覧のように、顕微鏡で見ると歯石の表面はデコボコしていてたくさんの穴があいています。 この中には非常に細菌が溜まりやすく、そして繁殖しやすいのです。

先ほどの僕の体験談で「いろんなところがザラザラしてる」と指摘されていましたが、自分で歯石を取ると完全には取り切れず、表面がデコボコになります。 これは返って歯石がつきやすい状況です。 すぐに元通りに歯石がつきますし、取り方によっては歯石のつく範囲を広げることにもなりかねません。

なんとなく歯石を自分で取ってみたかった

というのであれば自分でやってみてもいいですが、

歯周病の原因になるらしいし、歯石を無くしてしまいたかった

というのであれば、やはり歯石取りは自分では不可能だと言っていいと思います。

さらに、もうひとつ歯石取りが自分でやりにくい理由があります。

歯石がつきやすい場所は自分では見えづらい

歯石の組成はリン酸とカルシウムと言いましたが、このリン酸とカルシウムは実は唾液に含まれているものです。

なので、唾液が溜まりやすい場所には歯石がつきやすい。

唾液がたまりやすい場所は、下の前歯の裏側と、

上の奥歯のほっぺた側です。

歯石もこの2ヵ所につきやすいんですが、この2ヵ所、自分では非常に確認しづらいです。

これも歯石の取りにくさの理由になっています。

さて、歯石取りが自分では難しいというお話をしてきましたが、それでもまだ

そうは言っても歯医者さん達は自分で歯石取りやってるんでしょ?
なら私にも頑張ったらできるかもしれない!

と思われる方がいるかもしれません。 実際さっき、僕が自分でやった体験談をお話ししましたしね。

というわけで友人の歯科医師35人に聞いてみました!

「あなたは歯石取りを自分でやっていますか?」

現役の歯科医師35人にアンケートをとってみました。

結果は…

「自分で歯石取りしている」が0人、「自分で歯石取りをしない」が35人でした。 まぁ、結果は分かっていたんですが、それくらい自分で歯石を取るのは難しいということです。

歯科衛生士さんはご自分で鏡を見ながら超音波スケーラーで歯石取りされているのを何人か見かけたことがあります。

ね?

僕たちは自分で歯石取りなんかできるわけないことを十分に分かっていただけるんじゃないかと思います!

余談

このアンケートをいろんな先生にする際に

「サルちゃん、自分で歯石取りたいの?それはなんで?」
「猿田くん、どうしちゃったの…。スタッフと揉めた?疲れてるなら今度ご飯いこ?話聞くから…」
「え、サルさん、スタッフに頼んでないんですか?うちの医院きます?」

あ、いや、ホームページでコラム書くためのアンケートだったんだけど…
だいぶ皆さんに心配をかけてしまいました(笑

いかがだったでしょうか。

ご自宅で歯石取りができればそれはもう便利ですよね。 自分で取りたい気持ちはとてもよく分かります。

ですが、歯科の国家資格を持つ歯科医師ですら自分でやるのは難しいです。 無理をして歯や歯ぐきを傷つけてしまったり、歯石を広げてしまうくらいなら、ぜひぜひ歯医者さんに相談をしましょう!

当院は歯石取りだけのご相談も歓迎しています!

陽だまり歯科はあなたのご相談をお待ちしております